こんな 「老子」 に出会いました。人類知抄 百家言中村雄二郎 著
古今東西の百人の英知をめぐるエッセー集です。
わずか3ページ程の短い文章ですが、とてもわかりやすく読みやすいのです。
しかも、その人物達の本質を実に見事に見抜いていると思うのです。
短い文章の中で、これは、ちょっと驚きです!!
そのなかの一人に「老子」が紹介されていました。
今ではいろいろな人が訳していますが、老子というと
どうも好々爺のイメージがあるようです。
まるで、スローライフの元祖のように描かれたりもしています、
もちろんそんな捉え方があってもいいと思うし、僕も好きです。
それに、原文を味わっていないので何とも言えないところなのですが、
訳す人によって随分と感じが違ってくるようです。
この本の訳には正直鳥肌が立ちました!
いままで読んだことも聞いたこともないその響きに圧倒されてしまいます。
たしかに、老子は今も何処かで私たちの心の声を聞いている、
そして、耳の奥の方で囁くように問いかけてくるのです。
あとは、何も言わずに訳された一部分だけを抜粋してみます。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
迷える魂を落ち着かせ、統一を保って、そこから離れないように出来るか。
息をこらし、心を開いて嬰児のようにできるか。
知る者は言わず、言う者は知らず。
すべての感覚を閉ざし、理知の働きをやめる。
すべての鋭さは、鈍らされ、すべてのもつれはときほぐされる。
すべての激しさは和らげられ、すべてのごみが取り除かれる。
これを玄同(深いアイデンティティ)という。
「空や虚にできるだけ迫り、静や寂を一心に守る。
そのとき、生きとし生けるものは盛んにのびるが、
私はそこに事物の立ち返りを観る。
生き物は栄え茂っても、やがては根元に戻るのである。」
それを知ることは<常>を知ることであり、
常を知ることが<明察>なのである、と。
迷える魂を落ち着かせ、統一を保って、そこから離れないように出来るか。
息をこらし、心を開いて嬰児のようにできるか。
神秘めいた幻想をぬぐい去って、一点のくもりもないようにできるか。
知る者は言わず、言う者は知らず。
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